月に1度の

今日は月に1度の病院の日。舌癌の手術をしてからはや7カ月、現時点では転移は見当たらない。いいこと。
あいかわらず手術をした箇所に違和感がある。その部分だけ少し舌が堅い。味もいまいち判別できていないような気がする。周りからは違和感は無いと言われるけれど、喋りもいまいち。うまく喋れない。もう何か月も同じ状態が続いてるので、このあたりのことはもうこれ以上は良くはならないのかもしれないなと。

思い出

昨年秋に舌癌の手術を終えた頃、癌の告知をされて自分の死と向き合うようになってから頭に浮かんだことは、自分の周りの大切な人たちに対して自分は何かしてあげてこれただろうかということや、家族と一緒にどこに行こうかなとか何を食べようかなというような、自分に近しい人たちに関することばかりだった。「モノやお金はあの世へは持っていけない」と言うけれど、本当にモノやお金のことは全く頭には浮かばなかった。他の人はどうかは知らないけれど、自分にとって大切なものは家族であり、身近にいる友人たちであり、どうやら貯金では無いらしい。彼等彼女等との思い出を作ることが自分にとっての財産であり、その思い出はあの世にも持って行けるものなのだと理解した。
あれから約半年が経過したけれど、この半年で思い出を作れているかというと、なかなか難しいと答えるしか無い。仕事をしているとき以外、つまり週末のことだけれど、週末に何をしているのかというと9割方は写真を撮りに行っている。写真を撮りに行くことは楽しいことなので僕にとっては良いことだけれど、僕の家族や、いつになるかはわからないけれど臨終間際の僕にとってはどうなんだろうな?なんてことを思う。家族や大切な友人たちと共に過ごす時間をもっと作った方が良いのだろうと思える。
思い出っていいことばかりでは無いけれど、これから作る思い出は、笑顔溢れるものにしたいなと思う。いろんなことに挑戦もしてみたいと思う。あのときの僕の頭に浮かんでいたことを「後悔」と呼ぶのだろうと思うし、臨終の際には笑顔でいたいからね。

時が経つと

先週、舌癌の術後検診に行ってきた。退院して4カ月、食べ物に制限は無いし痛いところも無い。ただ縫合した側の舌が少し固くなっていて、その方向に舌全体がカーブしてしまっている。その影響で少し喋りづらかったり、たまに舌を噛んでしまうこともある。縫合した箇所は味覚は感じなくなっていると思う。気になるのはそれくらいかな。

そういえば、僕と同じく癌の闘病記をまとめているブログを目にすることがあるけれど、アフィリエイトのリンクが多かったり、結局のところは何らかの宣伝に繋がっていたりすることが少なく無いように思える。考え方は様々なのでそれに対する意見は無いけれど、「なんだかなぁ」という思いはある。
癌の告知をされたとき、死について考えた。自分が本当に死を迎えるかもしれないと思ったら、自分にとって大切なものとは家族であり思い出であると思えた。家族に対する感謝と詫び、そして「もっとこんなことを経験すればよかったかな」なんて思いだった。物欲やら金銭欲なんてものは全く浮かんでこなかった。死を垣間見たことのある方であれば皆同じような思いを抱くものと思っていたけれど、実際にはそうでは無いみたい。それとも、時が経つと忘れちゃうのかな。