流行

20161117

細めのグレンチェック柄のジャケットが欲しくて探しているのだけれど、「これは!」というものがなかなか見つからない。さほど流行り廃りのある柄とも思えないのだけれど見当たらないということは、流行りの服しか置いていないお店が多いのかもしれないな、なんてことを思い始めている。

20代後半の頃だったと記憶しているけれど、某専門学校のファッション学部で教えていたことがある。教えていたとは言ってもファッションのことでは無く、簡単に言えばMacの使い方を教えていた。Macの先生。その学校では講師陣全員が長い机に集まって一緒にお昼ごはんを食べるのだけれど、その際の会話が凄くてね。「昨日パリに行って来たのだけれど、皆黒い服ばかり着ていて…」「私はニューヨークでしたけど、そんな感じではありませんでしたねぇ…」なんて。教務の方から「いちおうファッション学部の講師ですのできれいな服装で講義をしていただければ…」なんてことを言われていた僕からすると、僕以外の講師陣は全員殿上人に見えた。貴族だよあれは。特権階級に違いないと思えた。
で、校内では「フォークロア」という単語を頻繁に耳にした。おそらく何かの専門用語でMacの先生には関係の無いことだろうと思ったのでスルーしていたが、先生も生徒も毎日のように「フォークロアフォークロア」と呪文を唱えるように歩いていたので、さすがに気になって「フォーなんとかって何のこと?」とアシスタントさんに聞いてみたところ、それは民族衣装のことだと教えてくれた。それが今年だか来年だかの流行りだそうで。流行りなので先生はその方向のことを生徒に教えるし、生徒もフォークロアの服を作るんだとのこと。「流行りってあらかじめ決まってんのか?」と疑問に思ったのでそれも聞いてみたところ、業界の偉い先生方が集まって毎年決めるものだと教えてくれた。「今年は黄色がいいですねー」となると、各社だか各先生だかは知らないけれど、皆一斉に黄色い服を作るそうで。へー。勉強になりました。黒と茶色のしましまのタートルネックのセーターを着て授業をしていたら「先生、それウミヘビみたいで変だからやめた方がいいよ」と言われた僕だけど、少し賢くなった。ということを思いだした。

ってことなので、細めのグレンチェック柄のジャケットはおそらく見つからないものと思われる。仕立てるほどのことでも無いので、次の流行を待つしか無いかね。