入院5日目(手術)〜7日目(ICUから一般病棟へ)

10月12日(月)8時から手術。その前に全ての荷物をまとめて1階にあるロッカーに預けに行く。術後すぐにICUに入るため、ICUに入っている間は一般の病室は空けないとならないと。荷物も病棟では預かることはできないのでロッカーに入れて来てねということ。しかもそのロッカーは100円玉しか受け付けないので事前に小銭も大量に用意しておいてねというのを入院後に聞かされるというね。逆に、ICUで必要になるものがあるからそれらは購入して看護師に渡しておいてねと。これ、どうにかした方がいいと思う。なんで入院前に教えてくれないんだろう。よくみんな怒んないなと思う。

で、8時頃に呼ばれてそのまま手術室へ。通常であれば家族も一緒に付き添ってくれるんだけど、コロナにつきひとりで向かう。
麻酔をかけられ、「安西さーん」と呼ばれた時には既に手術は終わっていた。過去に3度も経験をしているので「麻酔したと思ったら手術が終わってるパターン」は理解していたけれど、今回は今までと比べて「麻酔」から「呼ばれる」までの時間が長かったように感じた。看護師さんから「今、夜の8時ほにゃらら分です」と言われ、手術室に入ってから12時間も経ったらしいことを理解した。8〜10時間を予定と聞いていたので、もしかしたらちょっとオーバーしちゃったのかなとぼんやりと考えていたんだけど、これまで受けてきた手術はいずれも4時間程度だったので、呼ばれるまでの時間が長く感じられた原因はここにあるのかなと思えた。傷はあまり痛くは無い。それはいつも通り。

ベッドをゴロゴロされてICUに着くと、そこはなんつーか、倉庫のようなところだった。身体を動かしてはならないので周りを見渡すことはできなかったけれど、天井とその周りを見るだけで、その様子はなんとなく理解できた。
ICUの看護師さんが僕に話しかけてくるんだけど、僕は舌を手術してるから喋れない。意思疎通のために耳鼻科の看護師さんがあらかじめ「はい」「いいえ」「寒いです」などの言葉が書かれたボードを持たせてくれていたし、僕自身もこの日のために購入しておいた筆談機を持ち込んでいたけれど、ICUの看護師さんたちはそれを出してくれなかった。ICUにお世話になっていた3日弱の間に何人かの看護師さんが入れ替わり立ち替わりやってきたけれど、そのうちそのボードを持ってきてくれたのは1人だけだった。言葉が話せない人間に対して「YES」「NO」で回答ができるような「閉じられた質問」を行うというのは常識だと思っていたけれど、ここICUにおいてはそうではなかったらしい。こちらが答えられない質問をし、戸惑っていると、勝手に解釈をして事を進めてしまう。それに対して僕も意見を言えないという悪循環。彼女らにとって、僕は「モノ」なんだなと思えた。心が通った人間では無く、石ころと同じものに見えているんだろうと思えた。ICUの看護師さんと一般病棟の看護師さんとではそのカバーする範囲も違うのだろうから違いがあるのは当然だとは思うけれど、ICUの看護師さんたちからホスピタリティーを感じようとしても、それはなかなか難しいなと思えた。
予定していたICUでの2泊を終え、耳鼻科の看護師さんが迎えにきてくれた時は、その看護師さんが天使に見えた。やっと「看護」が受けられると思えて安心した。