心得

千住博さんの著作を読んでいる。僕が波打ち際をモチーフとした作品を作るようになったきっかけは、千住さんの代表作「ウォーターフォール」に感銘を受けたこと。「ウォーターフォール」で表現されているような世界観の写真を撮ってみたいと思ったこと。そこから派生して、波打ち際をモチーフに輪廻をテーマとした作品を作るようになった。憧れのエプサイトさんで展示することができたのは、千住さんの作品と出会えたことが大きい。
千住さんは著作の冒頭で「絵を描くということは、自分にないものを付け加えていくことではなくて、自分にあるものを見つけて磨いていくこと。自分の良さを磨いていくことです。自分にないものを付け加えていくと、一見、見慣れた上手い絵ができ上がってくるかのように思ってしまいます。しかし、これは落ち着いて考えてみるとどんどん「他人の絵」になってしまうことなのです。」(※『絵を描く悦び』から引用)と仰っている。写真家の森永純さんも似たようなことを仰っていたけれど、その考え方が僕にはとてもしっくり来てね。

花や猫や綺麗な海や空の写真も好きだけれど、それらについてはとても上手に撮る方がいっぱいいらっしゃるから、僕なんかが撮る必要は無い。見る専門でいい。では僕は何のために写真を撮っているのかというと、まずは自分を知るために撮っている。日頃から「写真を撮ることはセルフカウンセリング」と言っているけれど、写真を撮ることで自分を知ることができると思っている。自分の内面を見つめることができると思っている。そのことが千住さんの仰る「自分にあるものを見つけて磨いていくこと。自分の良さを磨いていくこと。」とイコールかどうかは分からないけれど、なんと言うか、ちょっと嬉しくもあり、安心もできる。
写真を通して自分を知ることができたなら、あとはそれをどのようにアウトプットするのかというところを考えないとならないけれど、そのあたりはまだまだ鍛錬が必要。もっともっと発表をして磨いていかないと。

最近は自分の内面では無くもっと現実的なものと言うか表面的なものに気が向いているので、作品づくりにはほど通りところにいる。とはいえ撮りたいテーマは常に頭の中に浮かんでいるので、自分のタイミングで撮り始められればいいかなと。僕にとって、写真(作品)とは自分の分身なので、焦らず、じっくり行きますよ。