マイナスをプラスに

鎌倉の和菓子屋さんで働いていた頃、もしクレームの電話を受けた際には謝罪をし、内容を伺い、お詫びにお伺いさせていただくために住所を教えていただくよう指導されていた。そしてどうしてもダメなら店長に変われと。今思えば何でもかんでも謝罪をするのはかえって危険かなとも思うけれど、大学を卒業したばかりのピュアボーイはその教えを忠実に守っていた。マニュアルがあったわけでは無いので自分の言葉でやりとりをした。言葉づかいに自信が無かったので怖かったけれど、それよりもとにかく誠意でしょってことで頑張っていた。最初はものすごい勢いで怒られたとしても、お話を伺い、心から謝罪し、質問されたことには身を守るような嘘をつくこと無く誠実に回答をし、「どうしてもお顔を合わせて謝罪をさせていただきたい」と言い張ることで住所を教えていただいた。そのすべてにおいて、電話を切る際には感謝の言葉を添えていただけたと記憶している。なかにはそのまま「今の鎌倉はどのあたりを見に行けばいいの?」やら「また鎌倉に行きたいんだけど〇〇ってお店はどのあたりにあるの?」のように観光案内の電話に変わってしまったり。ガイドブック片手に1時間以上お話をさせていただいたこともあったな。
どうしてこんなことを書いているのかというと、昨晩久しぶりに会った友人とそんな話をしたから。某コンビニのレジで心にひっかかる対応をされたことを、そのコンビニの人事部で働いている友人に告げ口(笑)をした。こないだこんなことあったんだよと。

クレームの内容はそれぞれだし人の捉え方も様々なので、マニュアル通りの対応は難しいと思う。というか、怒りの炎に油を注ぐ結果となることは少なく無いと思う。マニュアル通りの対応をされると「お前、ホントに悪いと思ってんの?」ってことになるもの。心が置き去りにされているように感じる。にも関わらず世の中にはマニュアル対応が溢れていて、そのあたり、いかがなものなのかなと。お互いにとってハッピーな結果にならないのでは?やはり臨機応変に自分の言葉で対応できないとイカンと思う。でもできないんだろうし、任せるのも怖いんだろうな、企業としては。

以前、Tさんと2人で赤坂の卯〇木に飲みに行った時のこと。Tさんが手を滑らせてカウンターにビールをブチまけてしまったところ、カウンターの中にいたKリンが「あらあら!カウンターにも飲ませてくださってありがとうございます!」と言いながら布巾でカウンターを拭いた。「お洋服は大丈夫ですか?」と言いながら。これぞ接客だと思った。接客は行きつくところまで行くとこうなるんだなと。感激した。

マイナスな出来事はプラスに変えることができるし、クレームはチャンスなんだよな。ここ、大切なところ。