入院27日目(術後病理検査結果とこれからのこと)

昨日の午前中に喉に開いた穴は塞がれた。麻酔をしたのちに二針縫ったんだけど、痛かった。縫い終わって病室に戻ったあたりから麻酔が効いてきた感じがあったから、縫うのがまだ数十分早かったんだと思う。でも穴が塞がれたことで通常の呼吸に戻ったんだろうね、鼻もかめるようになったし、昨夜はなかなかよく眠ることができた。「普通」の状態の有り難みよ。

で、11時からは予定通りに耳鼻科の担当医から術後の病理検査の結果の説明がされた。12日の手術で切り取った部位の病理検査の結果ってことね。僕は専門家では無いのでいまいち理解が浅いところもあるけど、切り取った舌に関しては大丈夫。大丈夫って言い方も本来は無くて、「癌かもしれない」と言われていた舌の真ん中の部分はやっぱり癌で、どうも再発したものではなく新たにできたものではなかろうかと。ただそこも含めて舌は切っちゃったから大丈夫ってこと。ただ首のリンパ節については、術前は「癌の疑い」というグレーなものが1箇所だけあるから切っちゃうぞということだったんだけど、実際に切って、切ったものを病理に出してみたら、癌が7個も見つかったと。7個も転移してたんだって。節外浸潤って言って、リンパ節の外に飛び出した癌も発見されたとのこと。これってどういうことかというと、目視では確認できなかった転移がリンパの外にも複数見つかったってことみたい。今はもう術後だから今がそうだということでは無いんだけど、このことからわかる術前のステージは4。厳密に言えばステージ4B(ⅣB)。ステージは4Cまでしか無いから、4Bってのはなかなかなものってことだろうね。4Cは「離れた場所への転移が認められる」ってことだから、その手前ってことみたい。それを聞いて、だから僕は今年の春あたりからおかしいなと思っているところを何度も指摘してきたのに今更これかよと少しだけ思えた。本当は大いに思ってるんだけど「少しだけ」と表現したのは、春の時点で先生からの説明を受けて納得したのは僕自身だし、気になったのであれば西洋医学とは異なった視点から診てくれるところを探すべきだったなと思えたから。「未病」の時点で指摘してくれるようなところ。それも今となってはどうにもならんからな。で、先生からは今後の治療として放射線+抗がん剤を勧められた。放射線+抗がん剤の治療をする場合には、また入院しての治療となる。66〜70グレイの放射線を33〜35回にわたって放射して、最大300mg/m2のシスプラチンを点滴で投与すると。70グレイって人間にやっていいMAXの量じゃなかったっけ?違ったっけ?シスプラチンの投与は100mg/m2を3週おきに投与する方法と40mg/m2を毎週投与する方法とがあって、後者の方が若干治療の成績が良いみたいだけど、どちらでもいいと。それと、治療の途中から身体がおかしくなって食べることができなくなる人が多いから、あらかじめ「胃ろう」を作っておくことが多いんだって。そこから直接胃に栄養を投与することになると。で、副作用としては口内炎、嚥下障害、味覚の低下、口の渇きが挙げられると。そのうち口の渇きについては後遺症として完全に残りますと。これ、言葉にすると簡単なんだけど、実際にはかなりキツイものらしい。放射線を口の中に当てることによって口の中が焼けるんだって。それによって唾液を分泌する線だか何だかが塞がれて唾液が出なくなるもんだから口が渇くと。それが一生続くのよ。その他の副作用も人によって出方は全く違うんだけど、治療中のそれは本当に大変らしい。後から複数の看護師さんたちに個別に聞いてみたけど、全員が全員厳しい見方をした。そのうちの1人の看護師さんはストレートに物を言ってくれる人でこれまでもそのストレートさに助けられてきたんだけど、医師は治療をしろと半ば強引に言ってくるけれど、よく考えて、拒否したいものは拒否してくださいと。今回は手術だったから日に日に回復するものだけど、放射線+抗がん剤はそういうものでは無いと。ずっと辛いと。ただでさえ今回の手術で呂律の低下と嚥下障害が起きてるんだから、それに加えて口の渇きのような後遺症が残ることがどんなことなのか。もちろん癌は取り切れるのかもしれないけれど、今後の生活を考えた場合のことも考えてみてもいいのかもしれないとのことだった。それには僕も大いに賛成で、そこまで辛い思いをしてというか、今後辛い思いをしながら生きていくのってどうなのかなとは思える。QOLっていうのかな?生活の質を大きく下げてまで生きていくべきなのか、ちょっと僕にはわからない。とは言うものの、僕には守るべき家族がいるわけで、性格的にも例えば「お前が植物人間になればお前の家族だけは助けてやる。ワハハハハ!」みたいなことを言われれば進んで植物人間になるような人間だと思っているので、QOL云々ではなく、迷うことなく放射線+抗がん剤の治療を受けるべきだろうなとも思える。両極端なんだけど。両極端なんだけど、どちらも正しいと思えるし、どちらを選ぶべきなのかが全くわからない。そもそもこの治療法以外にどんなものがあるのかもわからないし、とはいえセカンドオピニオンとは言っても同じ「医師」にお願いするものなのだからさほど大きな違いは無いだろうなと思える。セカンドオピニオンをお願いするのであれば西洋医学とは全く違うアプローチをしてくれるところにお願いをしたいと思ってるんだけど、どこにお願いすればいいのかもわからない。知らないんだもん。今後の治療の一切を拒否して、例えば酵素風呂に通うとか食事を気をつけるとか所謂民間療法に切り替えるということもやぶさかでは無いとも思えるんだけど、でもそうしてしまうとどこかで後悔することにもなるかもしれないなと思え、本当にどうしていいのかが分からない。おじさん困ってる。だからせめてどんな選択肢があるのかくらいは知っておきたいなと思えて今調べてるんだけど、それにも限界があるからさ、ご存知の方がいらっしゃればぜひ教えていただきたい。それをやるかは断言できないけれど、選択肢の一つとしてありがたく頂戴するから。

昨日の説明には妻も同席してくれた。先生からの話がキツいものになった場合、妻1人だと帰り道で落ち込んでしまいそうだなと思えたので、申し訳ないんだけど義理のお母さんにも一緒に来てもらって病院の1階で待っててもらった。妻と義理のお母さんがくるということはもちろん我が子も一緒に来たってことなんだけど。久しぶりに会う我が子はどうも僕のことが分かっていないように見えた。1ヶ月も会ってないんだから仕方ないよな。単に眠いだけだったのかもしれないけど。それでも抱っこをすると僕の肩にほっぺたを乗せて身体を預けていたので、なんとなく思い出したのかもしれないなとも思えた。この子を、そして家族のためにどんな選択をすべきなのか。これから答えって出るんだろうか。先生からは「一度退院して、次の診察日あたりまでに決めてくれればいいですよ。」と言われてるんだけど、果たしてそれまでに結論なんて出るんだろうか。いや、出せるんだろうか。全く分からん。