トリミング

ポスターやカレンダーを筒状に丸めるとき、人はどんな方法をとるのだろう。思うに、適当に丸めてからはみ出た部分を机の上でトントンして整える人が多いのではなかろうかと。それが一番早いだろうから僕もそれでいいと思うんだけど、幼少期に「右端と左端をよく見て、ゆっくり丸めていく…。ほら、曲がってる!!」と祖父に怒られながらカレンダーの丸めかたの教育を受けた僕としては、このご時世であっても、撮影した写真のトリミングはおこなわない。撮影時に被写体の位置を確認して、四隅をじっくりと確認してからシャッターを切る。連射なんてものも使わないし、そもそも一発で決めようとしてるから撮影枚数が少ない。時代に逆行しているようにも思えるけれど、あの祖父に鍛えられたからなのか何なのか、こんな性格になってしまった。そしてその性格を気に入っている。なので僕には高性能なカメラは必要無い。視野率が100%なら充分。動く被写体なんて興味無い。というか撮れない。その場から動かずにじっとしていてくれるものでなければ撮れない。その動かずにじっとしているものがさ、時代の流れに取り残されているのに満足してる僕みたいでさ、結局作品には自分(が持っているもの)しか表れないというさ、何年か前に僕が勝手に出した結論に行く着くわけで、面白いなというか何というか、どんだけ自分が好きなんだよと思う。自分を撮り続けてるようなものだからね。