優先席

ここ最近は混みあっていて目的の駅まで立ったままの通勤が続いていたけれど、今朝は僕の前に座っていた女性が隣駅で降りたので、そこから目的の駅まで座って通勤することができた。毎朝のパターンとしては、新宿方面に進むごとに車内は混み始め、下北沢で若干空いて、代々木上原ではドカッと空いてドカッと混むのでイーブンで、隣の代々木八幡でかなり空く。
今日は代々木上原だっただろうか、混雑していたので見えなかったけれど、優先席の方向からかすかに年配の男性の声が聞こえた。「どこまで乗るの?」と言ったと思う。それに対して「新宿です。」と返事をする若い女性の声が聞こえた。年配の男性が若い女性、もしかすると妊婦さんに席を譲ったのかなと思っていた。二駅進み、参宮橋の駅で杖をつく男性が電車から降りた。初めて見る男性だった。電車のドアから混雑した狭いホームに降りる際の動作がとてもゆっくりで、よろよろしているようにも見えたので、きちんと降りることができたのか、周りの流れに戸惑っていないか、気になってその男性の姿を目で追った。でも動き出す電車とホームを歩く多数の人の影で、男性の姿を捉えることはできなかった。その次の駅で僕は降りた。降りる際になんとなく優先席の方向に目を向けると、そこには松葉杖をついた若い女性が立っていた。その前に座っているのはスーツを着た3名のサラリーマン。優先席でだらしなく寝ていた。
あのときかすかに聞こえた年配の男性の声、あれはきっと参宮橋で降りた杖をついた男性だったのだろう。そして新宿まで行くと言ったのは松葉杖の女性だったんだと思う。本来優先されるべきふたり。僕の心がざわついたのは言うまでも無い。

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