作品展示によるモヤモヤ

何度も書いたことなんだけど、なぜか頭に浮かんだし、あれから3年以上が経過した今でも腑に落ちないことなので、また書くことにする。

エプサイトさんで個展を開催させていただいたときの話なんだけど、僕の作品を見て「見てわからないものは撮っちゃだめだよ。僕の生徒もこういうの撮るやつがいるんだよ。」と言った方がいた。「わからないものを撮るな」という、作品を理解しようともせずに(ステートメントすら読まなかった)否定したことと、「僕の生徒にもいる」という、仮にもエプサイトさんに選んでいただいて展示させていただいている僕とあなたの生徒さんとを同一視するという、ダブルで失礼なことを言う人だなと思った。エプサイトさんにも失礼だよね?失礼だなと思ったけど、ここまで足を運んでくださって、どこの馬の骨だか分からん僕のような人間に意見を述べてくださっているわけなので、お話を丁寧にお伺いした。ただその方がお帰りになってからフツフツと怒りが沸いてきてだな、芳名帳にあったお名前で検索をしたら、某所で写真を教えている方で、まずまず名の知れた方らしいことが分かった。「僕の生徒」と言っていたので写真を教えている方なんだろうなとは思っていたけれど、生徒に対して「わからないものは撮るな」と言ってしまう方がご自身ではどんな作品を制作されているのかなと思って探してみたら、隅田川を運行する船を撮ったものを作品と称していた。いや、別にいいと思う。ひとそれぞれだからいいと思うけど、あれは松本零士先生がデザインをした特徴的な外観をした船で、それを撮ってご自分の作品だとしていることに、僕とは180度考え方が違う方なんだなと思えた。そして、その方の生徒さんは幸せなのかなと疑問に思えた。僕は大学や専門学校では写真の勉強をしていないから分からないけれど、制作意図を知ろうともせずに「わからないものを撮るな」と言ってしまうその全否定が、生徒さんの成長の芽を摘むことにならないのかなと思えてな。

「作品は展示をした時点で自分の手を離れる」なんてことを言うけれど、なんかこう、嫌な気持ちにさせられたなというのが正直なところ。メーカー系のギャラリーに応募をした時点で覚悟はしていたし、様々なご意見をいただけるであろうことにメリットを感じていたけれど、写真の世界ってのはもしかすると未成熟なものなのかもしれないなと思えた。未成熟が渦巻いているこの場からは抜け出さないとイカンぞとも思えた。それも含めて「アート」と言ってしまえばそれまでなのかもしれないけれども。今はその時のモヤモヤというか怒りというか、そんなものが原動力になっているところもある。