咄嗟

先日、最寄駅についたので席を立って電車を降りようとしたところ、前に立っていた男女が僕の進行方向を開けてくれなかった。身体は僕の方を向いているから僕が降りようとしていることは分かってると思うんだけど。仕方が無いのでそのまま突っ込んだら、僕の肩が男性の身体に当たったようで、その男性はつり革につかまったまま「チ~!」と言いながら一回転してしまった。何の文句も言われなかったのでそのまま電車を降りたけど、なんだか申し訳無いことをしたなと思っている。そもそも「チ~!」って何なのかということと、僕は僕で「すみません」やら「降ります」のような言葉をかければ良かったんだけど、咄嗟の時って声が出ないんだよね。声が出ないというか、喉が開かないという表現の方がしっくりくるかもしれないけど。
咄嗟といえば、何年か前に駅から自宅までのさほど明るくない道を歩いていたとき、道の反対側を走って来る人影がチラリと見えた。チラリズム。夜のジョギングだろうと思って気にせずにうつむき加減で歩いていたら、僕の5mくらい手前で僕の方に向かってステップを切ってきた。あまりに突然&予想外で、猛烈に驚いた。殺されると思った。「殺される」の「ころ」あたりで僕の横を通過してそのまま走っていったので何事もなかったけれど。激烈に驚いたので、しばらく心臓がバクバクしていた。なんかね、ボクサーだったみたい。適度にステップ切りながら走ってたようで。
咄嗟の出来事には対処できないもんだなってことと、人間ってたぶん簡単に殺られるなってことを悟ったよ。