自分

たとえば何かの職を得ようと思ったとき、既にある職種のなかから自分に適したものや興味のあるものを選ぶことが普通の流れだと思うけど、それってなかなかチャレンジャーだと思っている。僕も20~30代前半の頃まではいろいろなことにトライしたけれど、自分の適正と職業とが合致することって稀だと思う。そこに不一致があると、雇う側にとっても雇われる側にとっても不幸なことだと思うし、雇われる側、つまりは自分のことだけれど、人によっては「自分はこんなこともできない人間なのか」やら「自分は社会不適合者なのかもしれない」なんてことを感じちゃう人もいるんだよね。いやいやそうじゃ無いと思うよというのが僕の考えなんだけど。それって誰が悪いわけでは無く、マッチングが悪いだけだから。むしろ職というものは既にあるものの中から選ぶのでは無くて、自分で作っちゃうのが一番だと思っている。たとえば「夜しか開けないパン屋」とか「一日中空を眺めることで空の異変にいち早く気づいてそれをネットで報告する人」とかさ、知らんけど。「僕、自転車に超詳しいです」なんてことを書いた看板を持って交差点にでも立ってたら何かが生まれるような気もするし。そこにハードルの高さを感じる人は多いであろうことは分かるけれど、なんだかんだ、自分でレールを敷いた方が楽なんじゃね?と思うんだよね。
似たようなことを写真についても感じていて、誰かの真似をする人って多いじゃない。好きな作家さんの作風を真似したり、被写体を真似したり。それは悪いことでは無いんだけど、真似をすることでもともとの作家さんを超えた人を見たこと無いなと。つまりはそれってその人が持っていないものを表現しようとしてるからだと思うんだよね。いやほんと、悪いことだとは思わないんだけど、もともと自分の中にあるものを表現として外に出した方が楽だと思うの。その方が近道だと思える。誰かの真似をしていたら、どこかで壁にブチあたると思うんだよね。なのでモノ作りをする人にとって何よりも必要なことは「自分を知ること」だと思っている。自分は何を持ってるのかと。そこから始めた方がいいと思うんだよね。