イボ

癌のおかげで身体の変化に敏感になった僕だけど、2週間ほど前に脇の下近辺の異変に気付いた。なんか、ゴミみたいなのが付いてる。埃が何かかなと思って触ってみたけど動かない。埃じゃ無かった。なんか、身体にくっついてるみたい。鏡に映してじっくり見てみたところ、なんつーのかな、先端が少し大きくなっててキノコに似たビジュアルのものだった。引っ張ると伸びる。伸びるけど切れはしない。ひねったらどうなるかなと思いひねってみたら、ある程度のところで痛くなった。ふむ。パソコンを起動して「イボ」で画像検索をしてみたら、まったく同じでは無いけれど、僕のものと似たようなものも見つかった。うーん、たぶんこれイボだろうなと。皮膚科に行こうかなと思いつつ、まずは妻に報告したら「見せてみろ」と。見せてみたら「これで取れる」と言いながら、小さな瓶に入った野菜だか果物だかの液体を見せられた。妻ってね、所謂自然療法って言うのかな、それが好きなのよ。僕の癌もさ、たまたま妻がビワの葉エキスを作ってたから精神的に助かったところがあるのも確かなので、今回のコレも無下に断るのもアレだなと思え、お任せすることにした。皮膚科に行けば早いんじゃなかろうかとは思いつつ。
まずはそのわけのわからない液体に浸したガーゼ的なものをイボに固定する必要があるとのことで、注射をしたあとにその痕に貼る小さくて正方形の絆創膏的なものを探しにドラッグストアに行った。それが置いてありそうな棚とその周辺を探してみたけど見つからない。普通の絆創膏ばかり。でも普通の絆創膏に紛れてイボコロリが置いてあったのを見つけて、内心「これでいいんじゃね?」と思ったけれど、決して口には出さなかった。妻も見たはず、イボコロリ。で、結局正方形のやつは見つからなかったのでそのまま家に帰り、普通の絆創膏で固定することにした。
絆創膏を貼り始めた最初の頃はよく分からなかったけど、何日かするとイボが小さく柔らかくなってきたように思えた。妻に見せたら喜んでいる。なんだか楽しそうだなと思いながらもそれを続け、どれくらい経ったのかな、1週間ちょいくらいかな、イボが黒ずんでとても小さくなったのよ。試しにそのまま引っ張ったら取れた。痛みも無い。すぐにその旨を妻に報告したらうれしそうだった。「デカいのも取れるんだな!」と言った。
なんかこう「平和だな~」と思えた。いい家庭を築けていると思う。