小さな一歩

4月から始まる保育園を前に、そろそろ僕の自転車にチャイルドシートを取りつけておこうかなと。「どんなことでもプロに頼む。だってプロはプロだから。」がモットーの僕としては珍しく、今回の作業は自分でやろうかなと思っていた。「ひとりでできるもん」ってことな。なのでチャイルドシートを購入する前に、取り付けに必要なパーツをお店に確認。早々にお答えをいただいて疑問もクリアになったので、予め目を付けておいたチャイルドシートを発注し、実際にチャイルドシートを取りつけることになる自転車のステムを確認し、取り付けるためにはもうちょいハンドルの高さを高くしておいた方がいいかなと思えたのでその作業に着手した。

ハンドルの高さを調整するには、それを止めているボルトを緩める必要がある。ボルトは六角なので、あらかじめ買っておいた六角レンチで緩めてみた。緩めてからステムを引っ張ればいいだけなの。簡単でしょ?簡単なのよ。簡単なのに、緩めたボルトを締めようとしたらいくらボルトを回しても締まらないの。「あ、抜けたな…」と。普段から工具を持たない僕でも、こういったものはボルトを外すところまでやっちゃいけないことはなんとなく知っている。緩めるだけにしておいた方が無難なのよ。でもこれ回しても締まらないってことは、ボルトの先についているはずのナットが落ちちゃったってことだと思うのよね。ってことですぐにiPhoneで調べてみたら、やっぱりその通りだった。ボルトを回しすぎてナットがハンドルのポールの中に落ちちゃったみたい。で、それを取り出す方法をこれまたiPhoneで調べたら、自転車をさかさまにすれば出てくるとのことだったのでさかさまにしたんだけど出てきやしない。懐中電灯を持ってきてポールの中を覗いたら、あるのよ、ナットが。奥の方にある。もしかしたら油でくっついちゃってんのかなと思い、妻に声をかけてベランダに出てきてもらい、僕が自転車をさかさまに持ち上げてる間にゴム製のハンマーでステム付近を叩いてもらったんだけど、それでも出て来ない。参った。こりゃ自転車屋に持っていくしかないのかなぁとのことで近所の自転車屋を検索してみたんだけど、もうちょっと自分でなんとかできないもんかなと思って思案していたら、妻が「これ使ったら?」とのことで針金製のハンガーを指さした。おお、そうかも。ということで、ハンガーをまっすぐに伸ばして先端を鍵状に折り曲げようとしたら硬くて曲がんねぇのよ。なのでこれまた予め買っておいたペンチを持ってきて曲げようとしたんだけど、曲がってほしい形状にはうまいこと曲がらないの。そもそもこれ曲がったとしてもポールの中に入らないデカさになるんじゃなかろうかと思えたので予定を変更。クリップを真っ直ぐにしたうえでその先端を鍵状に折り曲げて、それをハンガーの先端にセロテープで付けることにした。それをポールの中に入れてナットに引っかけりゃ出て来るだろうと。ってことでその通りにやってみたら見事にナットを取り出すことに成功。人間、やればできる。っつーかさっきからナットナット言ってるけど、本当はこれナットじゃなくて「ウス」と呼ぶらしいからそこんとこよろしくね。で、無事にウスを回収できたので、ボルトとくっつけて、ポールの中に入れて、無事にハンドルの高さ調整は完了。んで、ハンドルの高さを変えたもんだから、ハンドルにくっついてるブレーキレバーやら変速機っつーかそれをガチャガチャやるやつやらの角度も調整しないと使いにくいよねってことで、ひとつひとつ調整して作業は終了。お疲れ様でした。

ウスを落とさなければほんの数分で終わるであろう作業に30分は費やした。でもなんつーか、ウスを落としたからこそ自転車の構造を知ることができたってこともあるし、プロに頼まずとも自分でできたっつー微かな自信も得ることができたので良かったわ。ハンドル上げただけなんだけどな。なんか、初めて飛行機に乗って一人旅をしたときと似てるなと思えたわ。あのときも旅行から帰ってきてから「オレ、大きくなったな」と思ったのよ。小さなことだけど、自分にとっては大きなことなの。小学生でもできそうなことだけど、小学生の頃に経験しなかったからさ。48歳になった今、ようやく経験できたの。そう、いい経験ができたのだよ。

っつーことで、チャイルドシート、無事に取り付けられますように。そっちが本番だからな。