僕とBARBEE BOYS

僕が高校生の頃、BARBEE BOYSが流行っていた。いや、流行っていたのかは知らんけど、BARBEE BOYSを聴いていた友達は多かった。僕は中学3年生あたりから性格がひねくれだしたんだけど、なんつーか、曲も歌詞もいい意味でひねくれていた(と感じていた)BARBEE BOYSは僕との相性がとても良かった。愛だの恋だの歌わずに、そこからもう少し踏み込んだあたりをさ、触れるか触れないかくらいの距離感と言いまわしで歌うあたりのひねくれさ加減。「オレたちかっこいいぜ!」とか「こんなにいい歌歌ってるんだぜ!」みたいな主張を感じさせられないところとかさ、とても好きだった。そりゃまーよく聴いたし、雑誌を買ったりして追いかけた。夜のヒットスタジオでコイソが古舘伊知郎から「コイン」と言われたときには憤慨したもんだよ。
そんなBARBEE BOYS、8年間の活動で幕を閉じたBARBEE BOYSが、来週新譜を出すのよね。何十年ぶりなの?よくわからん。当然ながら僕は予約してあるんだけど、そのうちの一曲のMVがさ、既に公開されてんのよ。それを見て(聴いて)思ったのは、僕が高校生だった頃に読んだ雑誌にさ、「BARBEE BOYSの音楽は、ギターもベースも好き勝手に演奏していてまとまりが無い」みたいな書評があったのよ。それを読んで「え、普通だと思うんだけど…」と思ってたんだけど、MVを見た(聴いた)ら「あ、こういうことを言ってたのか。」と納得できたの。約30年ぶりのその意味が理解できた。曲がはじまってすぐに「BARBEEらしいな!」と思ったんだけど、その「らしさ」ってのはあの雑誌で言うところの「まとまりが無い」ところであって、まるでScissor Sistersの『I Don’t Feel Like Dancin’』の永遠と続くハモリのように最初から最後までずっと目立ってるイマサのギターと、自由なラインで弾きつづけているエンリケのベースがそう感じさせるんだなと。そして相変わらずのひねくれ加減。なにこれ、曲も歌詞も普通じゃ無いよ。BARBEEが帰ってきたんだな~と思えた。

話は遡って、あれは僕が沖縄一人旅に出ていたころのことだからまだ僕が20代の頃、BARBEE BOYSが解散してしばらく経った頃、羽田空港内を歩いていたら突然目の前にエンリケが現れた。完全に目が合った。「うわあああああ、エンリケだあああ!」と思ったんだけど、「ファンです!」と言われても困るだろうからそのままスルーした。で、飛行機の出発までまだ時間があったので「飛行機でも見に行くか」ってことで屋上に向かったら、なんと僕の後ろをエンリケご一行様がついてきた。マジかよと。さっきは完全に目が合ったし空港内で2度も会うだなんて話しかけろって言われてるようなもんじゃねぇかと思い、意を決して「エンリケさんですよね?」と話しかけたらとても気さくに応じてくださった。で、BARBEEの話をしたら…って、ここは内緒にしておくけど、かなり長い時間、僕のために時間を取ってくださった。そして最後に一緒に写真を撮ってくださった。嬉しかった。
それからまた少し時は流れ、mixi全盛期だったから僕が30代の頃かねぇ。細かいことは忘れたけれど、イマサがmixi経由で僕にコンタクトを取ってくれるという奇跡が起きた。何度かメッセージのやりとりをさせていただいて、やはりそのときもBARBEEの頃のことをお伺いしたら、こちらが遠慮してオブラートに包んでいたことをひっぱがした上に、まるで空から隕石が100個くらい降ってきたかのようなドッカーンとしたご回答をくださって、いや、これ雑誌の取材とかそんなんじゃなく完全なるいちファン相手のメッセージなんだけど、そんなこと言っちゃっていいの?と思えるほどだった。いやー、イマサってすごいなぁと言うか、ありがとうございますというか、好きだわやっぱり。エンリケの言葉を借りれば、やっぱりイマサは僕にとっても「ギターヒーロー」。そんなヒーローとやり取りできただなんて、すんごく思い出深い出来事だった。

というね、エンリケに聞いた話とイマサに聞いた話を統合させてね、僕のなかでは「実録、BARBEE BOYS」みたいなものができ上がっていたんだけど、今回新譜を出してくださるってことで、なんつーか、いちファンとしてとても良かったなというか、時は流れたんだなというか、そんな気持ちでいる。とにかくは嬉しいし楽しみだしで、今年はいい年末を迎えられるよ。大好きだ、BARBEE BOYS。