家族

週末、久しぶりに姉に会った。姉の家の近くに行く用事があったので、連絡をして姉の家を訪れた。家を訪れたのは10年ぶりくらいだと思う。
ひととおり話をした後に、姉が「あんた機械詳しいっけ?」と言った。さほど詳しくは無いけれど、聞くと、DVDプレイヤーをテレビにつなげてほしいとのことだった。テレビを買い換えて以降つないでいなかったらしい。DVDプレイヤーの出力端子とテレビの入力端子とをつなぐだけなので、設定は数分で完了した。
姉が取りだしたのは、親族の集いを映した30年前の映像が収録されたDVDだった。そこには今は亡き祖父母と、一瞬誰だかわからない、今とは異なる容姿をした僕らが映っていた。実家の畳の部屋に長机を4台並べて、祖父母の金婚式を親戚一同で祝っている。父が司会を務め、父の弟が撮影をしている。乾杯の音頭は祖母の弟(?)の菅原さんだ。聞けば菅原さんも既に鬼籍に入っているという。祖父の挨拶のあとは、花束贈呈と金メダルの授与がおこなわれた。金メダルは僕の従弟(小学生)のお手製だ。彼は今は警察官になった。その場には親族の全員が集まれていたわけでは無いけれど、それでも十数人が集い、祖父母の金婚式をお祝いしていた。
そのDVDには、金婚式の他にも子供の日の集いやら、親戚の自宅の引っ越しを手伝う様子やら、お盆の送り火の様子やらが収録されていた。30年前を懐かしむと同時に、30年後の僕らが当時の父親たちと同じことをしてあげられていないことに申し訳なさを感じた。こんなにもたくさんの行事をおこなっていただなんて、今の今まで忘れていた。それどころか、姉が持っていたこのDVDは、実は僕も持っている。父からもらったものだけど、パソコンの横に置いたままでケースすら開いていなかった。なんかもう、酷い。酷い人間だとしか言いようが無い。自己嫌悪という言葉では足りないくらいのものを今は感じている。
今からではもう遅いけれど、だからこそ、今からでもできることを大切にしていきたいと思えた。前向きに見るならば、週末に姉と会えてよかった。