人徳

ラッパーと呼べばいいのか役者と呼べばいいのか分からんけれど、麻薬取締法違反の容疑で逮捕されていた、ガタイが良くて思っていたよりも髪の薄そうな男性が釈放された。その男性について、あるジャーナリストが「彼に関する一連の報道を見ていると、彼を見る社会の目があたたかい。そういうのを人は人徳と呼ぶ」のようなことを書いていて、そうそう、本当にそうなのよと共感した。これまでにも罪を犯した芸能人は星の数ほどあれど、彼ほど叩かれない芸能人は頭に浮かばない。むしろ復活を願う声が大きいように思う。
今はもう立派な大人になったので特別なことは思わないけれど、若かりし頃は彼のことが嫌いだった。彼というか、彼の所属するグループが好きでは無かった。なんでだっけと記憶を遡って思いだしたけれど、僕はスチャダラパーが好きだったからだ。僕の記憶ではスチャダラパーが先に出てきて、それからさほど時を置かずして彼のグループが世に出てきた。それが若かりし頃の僕の目には「パクリか?」と映ったということと、そもそも曲もヴォーカルの声質も嫌いだった。パクリと嫌いと嫌いの三冠王だったわけだ。3つも嫌いがあれば嫌いにもなるだろう。それがね、今はどちらかと言えば彼については良い印象を持っている。どこでどう転んだのかが分からないけれど、とにかく印象は良い。これがあのジャーナリストが言う「人徳」なのだろうか。目には見えぬものなのでその理由を「これだ」と付きつけることはできないけれど、とにかくね、印象は悪く無いのよ。なんだろこれ。率直に羨ましいよな。
「元気の押し売り」の女性タレントは散々叩かれた。某ディズニー映画の日本語版主題歌を歌った女性シンガーなんて何も悪いことしてないのに叩かれている。人徳って凄いな。いいなー、人徳。どこかで売ってないかな。ダースで買うのに。