オッサンの手首

昨晩はふたりとも仕事で帰りが遅くなったので、夕飯を作る気力も無く、最寄駅にある中華料理屋さんへ行くことにした。入口を入ってすぐのところにあるテーブル席に座った。
いつもはラーメンを頼む妻が珍しく炒飯を食べると言った。僕はスタミナ炒飯を食べる気満々だったけれど、ふたりとも炒飯を頼んでしまうとお店のオッサンの手首が大変なことになりそうだなとの思いがあり、少し躊躇した。躊躇はしたけれど、男たるもの初志貫徹ということで、思い切ってスタミナ炒飯を頼んだ。10分ほどで料理が運ばれてきた。
料理を食べ始めてから数分、カップルが入ってきて通路を挟んだ隣のテーブル席に座った。女性は五目炒飯を頼むと言う。男性はカニ炒飯がいいと言う。僕があそこまで遠慮して悩んで注文した炒飯を、あなた方はそんなに堂々と頼むのかと。2つも。オッサンの手首が心配にならないのかと。日本人の配慮とやらも地に落ちたもんだなと思いながら餃子を食べていたら(餃子も頼んだの)、今度は男性がひとりで入ってきた。彼は入口付近においてある新聞を手に取り、僕らから見て、将棋で言えば桂馬の位置に座った。さすがひとりで来るだけあって注文は早かった。彼の口から出たのは「鮭炒飯」。おい、おまえもか!!見てないのか!?入口付近に座ってる4名の男女が炒飯を食べているのだぞ!何か気がつくことがあるだろう!全くもう、自分勝手なんだから!!と思っていたら、カップルが入ってきた。そのうちのひとりが「追加で炒飯大盛り」って言いやがった。おい!ここは炒飯の店じゃねぇんだよ!!!もっと心配しろ!オッサンを!!

冷静に考えてみると、入口入ってすぐのところに座ってる僕らが炒飯食べてたもんだから、みんなそれにつられて炒飯を頼んだ可能性も無きにしもあらず。となると、悪いのは最初に炒飯を注文した僕らだということになる。やはりあそこは豚肉と卵とトマト炒めの定食セットにすべきだったのか。いずれにせよ、オッサンの手首が丈夫であることを願う次第。