腹黒いということ

5~6年ほど前までお仕事としてヒーリングとリーディング(スピリチュアルリーディング)をおこなっていた。もともとはヒーリングだけをしていたけれど、クライアントさんからのご要望によりリーディングもおこなうようになった。正式なスタートの前に心理カウンセリングの講座に通い、勉強と経験を積み、心理カウンセラーの資格を取得した。その方がお越しになる方は安心だろうと思って。「スピリチュアルカウンセリング」の名称でメニューに加えた。

リーディングをメニューに加えてからどれくらい経っただろう、所謂「常連さん」からご主人を見てほしいと依頼されたことがあった。ご主人はスピリチュアル全般を全く信じない方とのこと。少し不安はあったけれどお越しいただくことになった。多くの場合、玄関に入ってきた瞬間に、その方の悩みというか持っているものというか、そういうものはなんとなく分かるもの。過去に2名かな、上半身から頭にかけて金色に見えた方がいたけれど、ああいう方は自ら道を踏み外さない限りは「大丈夫」な方なのだろうと思える。玄関に入ってきた常連さんのご主人は、悩んでいることはあるものの、僕を一切信用しないという雰囲気に見てとれた。部屋に入りリーディングをはじめると、なぜかご主人に関する情報は全く入ってこなかった。初めての経験だった。ご主人以外の情報、たとえば奥さまに関することは入ってくるけれど、ご主人に関することだけは全く見えなかった。嘘をついても仕方が無いので「あなたのことは見えません。」と正直にお伝えした。
何か月か経ってから奥さまからご連絡をいただいた。僕とお会いしたあと、別の霊能者のところへ行ってみたと。世の中に「霊能者」と名乗る方は多いけれど、そのうちの9割は怪しいと思っている。僕が「本物」と思う基準は、その力の出どころによる。どの(何の)力を使って霊視しているのかという部分が大切だと思っている。ご本人に自覚があるのか無いのかはわからないけれど、そこは最重要だと思う。その僕の基準と照らし合わせて「とても本物」と思える女性霊能者のところへ行ったとのこと。そこにもご主人を連れていったが「あなたのことはわからない」と言われたそう。それを聞いて胸のつかえが取れたことを覚えている。ただ、その霊能者も僕もなぜご主人のことは見えなかったのだろう。わからなくてもいいことなのだろうけど、今でも少々気にかかっている。

数年前、知人の家に数人で集まったときのこと。そのなかの多くは初対面の方だったので軽く自己紹介をしつつご飯を食べたのだけれど、流れで僕が軽めのリーディングをすることになった。そのなかのひとりは隠しごとをしているように見えた。いつもは見えるものが見えず、そのかわりに黒いモヤのようなものが見えた。そのモヤは箱のような形で、お腹のあたりに見えた。その中を見ようと思えば見えるだろうけど、そこまでして見るものでも無いというか、秘密を見てしまうのもアレかなと思えたのでスルーした。
あとになって分かったのは、その女性は「マルチ」な方だったということ。あの会のあと、あの会に参加した数人を個別に呼び出してマルチへの勧誘をしたと聞いて、なるほどなと思った。「腹黒い」って、本当に黒いんだなと思えた。

なぜ2つの事例を書いたのかというと、なんとなく、この2件は似ているものだと思えたから。印象に残る出来事。
なお、あの常連さんはご主人とは別の道を歩み旧姓に戻ることにしたらしい。理由は知らない。